はじめに
日本でコーチとして指導している皆さん、普段、生徒に用具の準備を任せていませんか?多くの方は、「生徒が用意して、先生を待つのは当たり前」と考えているかもしれません。しかし、もしそのように考えているなら、ここで一つ明確にしておきたいことがあります。
コーチの役割:用具の準備はコーチが行う
コーチングにおいて、用具の準備はコーチの責任です。足りない場合は選手に手伝ってもらうこともありますが、基本的にはコーチが準備し、安全を確認してから選手に使用させます。
学校の授業を想像してみてください。教官は教材を準備し、それをもとに授業を進めます。生徒に教材を準備させ、授業を任せることはありません。コーチングもこれと同じです。正しい環境と道具を用意することは、指導者の基本的な責務です。
用具準備がもたらす安全管理
特に陸上競技においては、ハードルやボックスなどの器具の配置が正確でなければ、選手の怪我につながります。もし選手が怪我をした際、コーチが「何をやっているんだ」と叱責するのは問題です。なぜなら、その安全を確保する責任はコーチ自身にあるからです。
アメリカンフットボールなどでは、用具の配置は専任のスタッフが行い、コーチはその配置が正確か確認します。選手が用具を並べることはありません。これが安全と効率を確保するための正しい方法です。
動画撮影に依存しすぎない指導
また、選手の動きを動画で撮影し、分析することも一般的ですが、これも注意が必要です。動画は補助的なツールであり、常にそれに頼るべきではありません。指導の基本は、コーチ自身の目でしっかり観察し、選手の動きを理解することです。
私自身もハードル選手を指導する際、必要に応じて1〜2本の動きを撮影しますが、それ以外は実際に自分の目で見ながら指導しています。カメラ越しに見るのと実際に目で見るのでは、選手の動きやフォームの微細な違いに気づく能力が異なります。
結論
コーチングは、選手の安全と成長を支える重要な役割です。そのためには、用具の準備から指導まで、自ら責任を持って行う姿勢が求められます。安全を守り、正しく指導し、選手の成長を支えるコーチングを心がけましょう。